2015年3月14日土曜日

なぜ逆関数はf^(-1)で表すのか、なぜy=xに対称なのか。

関数$y=f(x)$の逆関数は$y=f^{-1}(x)$と書かれました。逆関数をなぜ-1乗と書くのでしょうか

また、逆関数ともとの関数はなぜ$y=x$に対称なのでしょうか。

本稿では、
1.逆関数の定義のおさらい
2.逆関数を$f^{-1}$乗と書く理由の説明
3.逆関数ともとの関数が$y=x$に対して対称であることの証明
を扱います。

逆関数という言葉は数学IIIで学習するものですが、本稿は数学IIIが未習のひとでも理解できます。

必要な知識
- 関数を$y=f(x)$と書くことになれていること


逆関数とは

関数$y=f(x)$に対して逆関数というのは、$y=f(x)$を$x$について解いて、$x=g(y)$という形にして、$x$と$y$を入れ替えた関数$y=g(x)$を指す。これでは抽象的過ぎてわかりにくいので、例として、関数$y=2x+5$の逆関数を求めてみよう。
\begin{eqnarray*}
y = 2x + 5 \\
x = \frac{y-5}{2}
\end{eqnarray*}
よって、$y=2x+5$の逆関数は$x$と$y$を入れ替えて
\begin{eqnarray*}
y=\frac{x-5}{2}
\end{eqnarray*}
となる。

高校の教科書では$y=f(x)$に関する逆関数を$f^{-1}(x)$と表記し、インバースと呼ぶ。
本稿の一つ目の目的は、なぜ逆関数を$f^{-1}(x)$と書くのかを探ることである。

逆関数を(-1)乗で書く理由

上で定義された逆関数はどういった意味を持つのだろうか。もう少し掘り下げてみよう。

「ある値を与えた時、ただ一つの値を返すもの」を関数と呼び(注1)、本稿では与えた入力値を$x$、返された出力値を$y$と書く。

関数$y=2x+5$は下の図のように、$x$に$1$を与えれば、$7$をかえし、$x$に$2$を与えれば、$9$を返す。

関数$y=2x+5$の逆関数というのは、これの矢印を逆さにした関数、すなわち、$7$を与えたら、$1$を返し、$9$を与えたら$2$を返し…という関数のことである。

さらに逆関数の逆関数を求めるには、この矢印をさらに逆さにすればよい。すると元の関数と区別がつかなくなる。このことから、逆関数の逆関数はもとの関数に戻ることが分かる。これは
\begin{eqnarray*}
(f^{-1})^{-1}(x)=f(x)
\end{eqnarray*}
とかけるが、形式的に指数法則を用いれば、$(f^{-1})^{-1}=f^{(-1)(-1)}=f^1=f$である。

このように、逆関数の逆関数がもとの関数に戻るという性質を指数法則になぞらえて表現しているために、逆関数は$f^{-1}(x)$と表記する

(注1) 1つの入力値に対して、複数の出力値を与えるものは普通は関数とは呼ばない。そのため、$x^2+y^2=r^2$などは関数とは呼ばない。この方程式は入力値$x$に対して、$y$が複数求まる。

代表的な関数と逆関数の例

(本題からずれるので読み飛ばして構わない)

指数関数と対数関数は逆関数の関係にある。それを上のような図をかいて納得しよう。関数$y=2^x$を先のように図にしてみると

 となる。その一方で、$y=\log_{2} x$を図にしてみるよ
となるが、これは先の$y=2^x$の図において左右を入れ替えただけであるから、$y=2^x$と$y=\log_{2}x$は、互いに逆関数である。

$y=x$に対して対称である理由

上で取り上げた関数$y=2x+5$とその逆関数$y=\frac{x-5}{2}$や$y=2^x$とその逆関数$y=\log_2x$をプロットすると次のようになる。





グラフを見れば、この逆関数ともとの関数が$y=x$に対して対称であることが分かる。これは一般の関数$f(x)$とその逆関数$f^{-1}(x)$にも言える。

逆関数ともとの関数を作図した時に$y=x$に対して対称となることの証明は以下の通り。

定理

$y=f^{-1}(x)$のグラフとその逆関数$y=f^{-1}(x)$のグラフは直線$y=x$に関して対称である。

証明

関数$f(x)$とその逆関数$f^{-1}(x)$において、


\begin{equation}

b=f(a) \Leftrightarrow $ a=f^{-1}(b)


\end{equation}
が成り立つ。これは逆関数の定義から明らかである。$x$に$a$を与えた時に$b$を出力する関数に対して、逆関数というのは、$x$に$b$を与えたら$a$を出力する関数である。

言うまでもなく、$b=f(a)$というのは$x=a$のとき、$y=b$を意味し、$a=f^{-1}(b)$というのは、$x=b$のとき$y=a$を意味するのだから、点P$(a,b)$が関数$y=f(x)$上にあることと、点Q$(b,a)$がその逆関数$y=f^{-1}(x)$のグラフ上にあることは同じことである。

点P$(a,b)$と点Q$(b,a)$は直線$y=x$に対して対称な関係にあるから、逆関数$y=f^{-1}(x)$のグラフはもとの関数$y=f(x)$のグラフと$y=x$に関して対称であることが分かる。

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